ブログ

プレカットの良し悪し

2025年06月18日

ブログ一覧戻る

こんにちは、能見工務店の能見です。

能見工務店は京都の長岡京市で木と自然素材を

ふんだんに使い高気密高断熱で高性能な家を

建てています。よろしくお願いします。





 
情報が溢れる中、発信されている情報は配信者の

思惑が入って発信されています。ちなみにこの

ブログは自然素材と高性能住宅を大切にしている

能見の視点で、家づくりに役立つ情報をお届け

しています。このブログも例外ではありませんが

そういう見方もあるんだな、と参考にして下さい。





 
「プレカット」

家づくりを検討している方でも、

あまり聞き慣れない言葉かもしれません。でも

実は今の木造住宅のほとんどが、この

「プレカット」という仕組みで作られています。

便利で効率の良い方法として定着している

プレカットですが、今日は、

【プレカットの良し悪し】

について書きたいと思います。





 
まずプレカットとは、木材をあらかじめ工場の

機械によって加工しておく方法のことです。

設計図に基づいて構造材や羽柄材(はがらざい)を

正確な寸法に切断や加工して、現場ではそれを

組み立てるだけの状態にして搬入します。今は、

外壁サイディングのプレカットなどもあります。

かつては大工が作業場でノミやカンナを使って、

23か月かけて作っていました。

それに比べると、プレカットは工場で一気に

仕上げるため1日に一つのレーンで23棟分の

骨組みを作れるんだとか。凄すぎます。





 
●プレカットの良いところ

工期が短くなる:上記でも書きましたが大工が

作ると数か月かかるのに対してプレカットは、

他の現場をやっている間に材料を発注しておくと

加工する必要がないので、すぐに次の家を建て

られます。工期が短くて効率がいいので大工さん

によっては一年間に1012棟も一人で家を

建てる人もいるという話も聞きます。

加工精度が高い:人が施工するのと違い、

コンピューター制御された大型機械による加工

なので、寸法のブレが少なく、均一な品質が

保たれます。また職人の技術に左右されにくく、

職人不足が進む中でも一定の品質で住宅を建てる

ことができます。





 
●プレカットの弱点や課題

複雑な加工は難しい:機械加工では複雑な加工は

不向きで、職人のように少しずつ角度を変えたり

形状に合わせて力加減を変える、場所に応じて取付

方法を変えるなどの微調整ができません。年々

機械も進歩してきていますが、まだまだ職人の

技術と同等にまでは至っていません。

大工技術の継承ができない:プレカットは

“楽”で“早い”“コストを下げられる”という施工者に

とってのメリットが大きいですが、これまでに

培われてきた職人技の継承ができないので、

骨組みを作れる職人が減少してしまっているのが

大きな問題です。





 
【結論】上記では書きませんでしたが、

私が考えるプレカットと手刻みの家の一番の

違いは骨組みの状態の時の家の揺れ方。手刻みの

家は骨組みだけの状態でも揺れないのに対して

プレカットは組み方が柔らかいのもあってよく

揺れます。最終的には、金物などで補強して揺れ

なくはなりますが、補強をしなくても揺れない状

態がいいのはなんとなくわかるかと思います。

揺れない骨組みを作る技術、これが古来から

伝わる職人技術だと私は考えます。





 
私は、プレカット自体は絶対ダメだとも思いま

せんし使わないわけでもありません。むしろ

効率化できて職人の腕による住宅の品質に差が

なくなるのはとてもいいと思います。

プレカットが普及して組み立てていくだけの家に

なっている中で、逆境したことを言うかもしれま

せんが、“骨組みのことをわかっている大工さん”

と“骨組みのことがわからない大工さん”どちらに

家を建ててもらいたいですか?

まあ、それを決めるのは施主様自身なので

これ以上は言いませんが、私はこれからもできる

限り手刻みをして、若い職人に経験を積ませて

あげたいと考えています。





 
しっかり家を建てて貰う建築会社さんに

アドバイスをもらいながら進めて

納得した家づくりを実現して下さい。

この情報が皆様の役に立てば幸いです。





 
次回は

【ローコスト住宅のウソ】

について書きたいと思います。



 
長い文章を最後まで読んで頂きありがとう

ございました。YouTubeでも様々な情報を

配信していますのでそちらもご覧ください。


  
手刻みで建てる木組みの家
株式会社能見工務店
    能見太郎

おすすめブログ記事